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2018年4月17日 (火)

奥熊野、後南朝と北山一揆の世界

2018年4月15日(日)
熊野体験企画の紀伊半島みる観る探検隊、今回は大又川流域の流れ谷、熊野市五郷町付近の散策です。こんな山里は、気になっていても、こういう企画が無いと訪れることはまず出来ないでしょう。今回は熊野学会の中田重顕さんの案内で数々の話が聞けました。
話は、下の図の○で囲んだ辺りの話です。
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朝9時半に五郷ふれあい公園に集合して、最初に向かったのはまるの下の方、飛鳥町神山の光福寺。後醍醐天皇の末裔の墓があると伝えられる寺です。
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後醍醐天皇の建武の中興は失敗に終わり、一旦分かれた南北朝は1392年に和解し統合する。しかし、南北交代に天皇を建てる約束は守られず、南朝の後亀山天皇は再び吉野に籠ることとなる。これを後南朝とよぶ。
その後、後南朝は北朝の攻撃に会い、吉野熊野の山中を彷徨し、最後の尊雅親王がこの地で入水して果てたと伝えられる。
その墓がある光福寺は瓦にも菊のご紋章がある。
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ただ、後南朝は正史には無視され、地元の言い伝えだけが唯一の資料だそうです。
その墓も、明治維新の頃、菊のご紋章を削って、密かに守ってきたとか。
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尊雅親王が入水した不動の滝を見に行ったが、一寸小さいので死ぬのは無理かと思われます。でも600年前は、もっと違った姿であったかも。
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その南朝の遺児を追跡し滅ぼしたのが赤松党と言われています。その赤松屋敷もここにあり、現在五輪塔だけが残っていますが、保存が充分でなく、荒れ果てています。
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後南朝の悲劇から200年後、奥熊野最大の悲劇がこの地方で起こる。それが北山一揆です。太閤検地に反発する北山の農民が一揆を起こす。北山とは、当時のこの地域の中心地であった和歌山県新宮市からみて北山で、現在の北山村や奥熊野一帯を指すようです。
1回目が天正16年(1588年)、2回目が慶長19年(1614年)です。その最初の天正の北山一揆がこの地方で起こった。百姓3千人が付近の山に立て籠ったが、羽柴秀長の軍に攻められ、この大又川の和田堤で多くが戦死しました。
農民が処刑された田平子峠の刑場跡は近年慰霊碑も建てられ整備されていますが、その数倍の農民が死んだであろうこの地は、近年まで放置され、怪奇現象が絶えなかったそうです。今は地元の人々が毎年供養して、収まっているとか。
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この地域は石垣が多く、その美しさで知られますが、これはその石垣をメンテする足場を備えた石垣です。
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次は江戸時代、油屋お紺の話です。
寛政8年(1796年)5月4日、日本三大遊郭の一つと言われた伊勢の古市で刃傷沙汰がありました。古市は外宮と内宮の間に有り、妓楼70軒遊女1000人を有し、江戸の吉原、京の島原と並ぶ一大歓楽街でした。
「伊勢参り、皇大宮には一寸寄り」という川柳があります。
その古市遊郭の代表的な妓楼油屋で、お紺という16歳の遊女を巡ってお客が刃傷に及び死傷者が出ました。この話は歌舞伎にもなっています。
その、油屋お紺の生まれ故郷が五郷だそうです。お紺の慰霊碑。
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お紺は年貢が払えない村の犠牲となって100両で油屋に売られたのだそうです。
その話は有吉佐和子が毎日新聞に連載しましたが、4か月ほどで筆を折って、未完成になっているそうです。
光明寺というお寺では、明治時代の住職が創立した私塾明徳館に近隣の秀才が集まった話を聞き、お釈迦様に甘茶をかけて、甘茶を頂きました。
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最後に熊野石倉美術館へ行きました。この建物は明治元年頃、田垣内家の先祖が建立した有形文化財です。
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現在はいろいろ整備されて、古民具や絵画などを展示する美術館になっています。
文化勲章受章の画家中川一政に師事した友吉の縁で、中川一政の絵も保存され、現館長は3度もお宝鑑定団に出演したとか。
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などなど、盛りだくさんの内容で、時間の経つのも忘れました。
写真下は田垣内家付近の石垣
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北山一揆で3000人が立てこもったと言われる御筍嵓?右から2番目のピーク
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16時過ぎに解散となりました。
 
 
 

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