鹿深の道

滋賀県の甲賀市に鹿深(かふか)の道というのがある。壬申の乱(天智天皇の跡目をめぐって大海人皇子と大友皇子が争った)時代の道らしい。当時は鈴鹿峠越えの東海道は無くて、この土山から油日へ、そして柘植から関・亀山というのが伊勢方面へのルートだったらしい。

２０２０年７月１８日（土）

山仲間のHさんから、どこか一寸歩いて一杯飲もうと誘われたので、この鹿深の道を歩いてみた。近鉄四日市駅から京都行の高速バスに乗り、土山SAで降りたのは９時１５分頃です。

ここでお握りを買ったり、トイレに行ったりして、出発したのは９時４０分頃か。

土山SAは一般道からの出入り口があります。それを出て高速道路沿いに一寸あるきます。

１０分ほどで、国道１号線から油日へ通じる鹿深の道に合流します。

この道をどうして鹿深の道と呼ぶのか、理由はよく解りません。鹿深という地名は無いそうなのですが、甲賀市の広い範囲を鹿深と呼んでいるようです。合流点から５～６分で神という集落に入ります。お堂は「北の川延命地蔵尊」です。

集落を過ぎると登りになります。この登りは１５分位続きます。この辺りはずっと歩道があります。車の通行は多くありませんが、それでも歩道があるというのは安心ですね。

道が水平になると藤木というバス停がありました。ハローバスというようですが昼間の走行はありません。ごみ処理場への道を過ぎ、１０時４０分に大原ダムに到着し、一寸休憩しました。昭和３０年に完成した農業用ダムだそうです。

１０分ほど休憩して出発しました。１２～１３分歩くと櫟野寺への道案内があり、その方向へ左折します。

櫟野寺の櫟は「イチイ」という字ですが、お寺としては「らくやじ」と読みます。櫟野寺がある地域の地名は櫟野と書きますが、読み方は「いちの」だそうです。ややこしいですね。近くの道標がありました。右山道、左伊勢道と書いてあるようです。

道案内に有る那須ヶ原岳は鈴鹿山脈の南端にあたり、鈴鹿峠から尾根伝いに高畑山・那須ヶ原岳・油日岳と続いて、鈴鹿山脈が終わりをつげるようです。私も２・３度登ったことがありますが、結構厳しいです。

１１時１５分櫟野の集落に入ってきました。

でも櫟野寺はまだ先です。

直進して田園の長閑な田舎道を進みます。

１５分ほどで櫟野公民館に来ました。この辺りの中心部でしょうか。一寸トイレ休憩させてもらいました。

３分ほど歩くと阿弥陀寺の案内がありました。櫟野寺の近くらしいので、そこから廻ることにして、街道からは外れました。１１時４０分です。

阿弥陀寺は平安初期に櫟野寺の七坊の一つとして創建されたが、途中で天台宗から浄土宗に改修されている。一木造りの仏像三体が祀られているそうです。

近くにある智光山というお寺。

櫟野寺到着は１１時５０分。

櫟野寺は伝教大師が延暦寺建立の用材を求めてこの地に来たとき、霊感を感じて櫟の木に観音菩薩を彫って安置したのが始まりとされます。２０体以上の平安期の仏像を保有します。ご本尊は１１面観音で、国重文では日本最大の３．１２mだそうです。

１２時５分頃出発しました。街道から変な道をたどってきたので、一寸方向感覚を失っています。慎重に地図を見て鹿深の道に復帰したのは１２時１３分でした。

１０分で油日岳登山道入り口です。正面の山が油日岳です。

ここでお話した農家の小母さんは、「猿や鹿ばかりで」と嘆いていました。２分で油日神社参道です。右折すれば油日駅方面です。左折して神社をお参りすることにしました。１２時半に正面鳥居から入りました。

油日神社は、古くは油日岳をご神体とし、中世以降は甲賀武士の崇敬を集めた由緒ある神社です。

参拝の後、一寸軒先をお借りして、昼食をとりました。１２時５０分頃出発しました。隣接する善応寺と神宮寺です。

油日駅への参道はとらず、直進して五反田方面に向かうのが鹿深の道です・

２０分位歩くと左側に大きな鹿深の道の案内板があります。

壬申の乱云々や付近の名所が説明されています。

４分でJR草津線と並行する県道４号線にぶつかります。鹿深の道は一応ここで終わりなのですが、左折または直進して柘植方面への道があったと思われます。

我々は右折して油日駅に向かいました。歩道の無い、嫌な道です。

１７分後、１３時３２分に油日の集落に入り、油日神社の一の鳥居の前に来ました。

実は油日駅の柘植方面行は、毎時３４分発の１時間に１本です。鳥居から駅までは３～４分ですが間に合いませんでした。幸い駅の近くに酒屋さんがあります。その前に地図には載っていない食料品店がありました。ラッキーです。これなら１時間の待ち時間も苦になりません（笑）。

酒屋さんに入ると、近頃珍しく座布団と灰皿が置いてありました。そう言うと、奥さんが笑って「田舎ですから、冬には火鉢をおきますよ」と。

向かいのお店で宛てを買って、店の前のベンチで小宴を開きました。１時間はすぐでした。

油日駅です。レンタサイクルがあり、近くの無数の城跡を廻れと言っています。

なんか近いうちに、もう一度来そうな気がします（笑）

帰る途中、四日市でもう一杯飲むことにしました。さすがに三重県一の都会です。人通りも多く、何よりうれしいのは、昼間から飲める店が何軒もあることです（笑）。

そのうちの一軒の食堂に入ると、うれしいことに鱧のおとしがありました。ますます気に行ってしまいました。

今日は一日有意義な日を過ごしました。